九印

http://www.magikuin.com/ より転載

 さて、遅くなりましたが意思表明です。今までこういった発言を努めてしてこなかったのは、私が争いを好まず、波風を立てることを嫌っていたからです。今は、違いますね。必要と思えることを言うことにします。

 とりあえず最初に、今後どうしたいかを話します。
 一度はジャッジ休業を宣言しましたが、ほかの方からの助言や再開を望む声などもあり、また問題点に対処する覚悟もできました。ですので、ここに復帰を宣言し、道内での活動を再開したいと思います。
 これは札幌以外の道内という意味ではありません。もっとも、今回の件で強く反感を抱いた札幌の著名プレイヤー達がどう反応するかにもよります。私が安全にイベントを運営できるのならば、今後も道内でのプレミアイベント重要地として札幌で活動したいと思います。
 現段階では……ネット上での誹謗や暴行を宣言している方もいますし、ちょっとわかりませんね。安全だと思えるまでは場所も確保しにくいです。もっとも今後は、何かあればそれなりの対応を取る覚悟はあります。よい反応にはよい援助を、提案と問題点にはしかるべき改善を、悪意ある反応には冷たき宣告を。

 次は……何度か質問を受けた「なぜプレリリーストーナメントの日程を教えなかったのか」について。
 これは、「公式発表があるまで社外秘」というタカラの運営方針に従っているからです。そういう契約で仕事を委託されている、と言い換えてもいいと思います。
 であれば、その情報は直接の仕事関係者以外には話すわけにいきません。軽々しく社外秘の情報を外部に流してしまえば、タカラからの信頼を失い、今後仕事が委託されなくなるかもしれないからです。
 また、タカラの5月の一般認定イベント表においても21、22日に大会を開催しているところがいくつもありました。一方で、プレミアイベント主催者と知り合いだから情報をリークしてもらってその日程を回避するとすれば、それは職権乱用にも思えます。もちろん、努力によって得られた人とのつながりを役立てることを否定するわけではありませんが、有利と優遇は別だと考えています。
 今回は、プレリリースの日程と会場を決定したのち、同じくすでに札幌での一般大会の日程と会場を決定していた主催者からプレリリースの日程について質問を受けたのですが、もはやどちらも日程が確定している以上、タカラの発表を待ってもらうしかないと考えました。
 また、たとえばその主催者が一般大会の会場を確保する前に「これから大会会場を取ろうと思うけど、プレリはいつ?」というような質問をしてくれていれば、「日程は公式発表があるまで何もいえないけど、これまでのプレリの日程を考えれば推測はできると思うよ」とか、「タカラに電話で問い合わせてみて」というようなアドバイスが可能でした。

 次は今回のプレリリース、そして日本選手権予選の会場が室蘭である理由や経緯についてです。
 これは札幌の会場を確保できなかった、というのが理由なのですが、単純にそう表現すると語弊がありますね。
 普段使っている札幌の会場がたまたま塞がっていたのが始まりです。その後可能な限り会場を探したり調べたりしたのですが、地元に住んでいるわけでもなく、適切な部屋が空いている会場をうまく探し当てることができませんでした。
 そのため、前々から考えていた北海道の各地でのイベント運営による地方の活性化を実行に移す機会と考え、スタート地点をもっとも動きやすい室蘭にしました。
 プレリリースと日本選手権予選は同時期に会場を確保したため、同じ結果に落ち着いただけで、今後すべてのプレミアイベントを室蘭で行う、というつもりはまったくありませんでしたし、今後もありえません。私は「北海道の」レベル2ジャッジだからです。
 地元の活性化と同様に、スタッフの掘り起こしもかねていますから、スタッフも地元から選出しました。認定ジャッジになりたい、という意思が必要なわけではありません。運営の手伝いをしたい、というやる気があればそれで十分でした。そういった人たちが地域のまとめ役や相談役になっていけば、よりよい環境になると考えてのことです。
 今回に限らず、各地の会場を確保するためにその地方のプレイヤーに協力をお願いすることで、会場確保や大会運営はスムーズに行くはずです。では、なぜ今回はそこに至らなかったのか、という疑問もあると思いますが……。
 はっきり言ってしまえば、名前や顔が思い浮かぶ著名な札幌のプレイヤーほとんどを、私がそこまで信用できなかったからです。そのため、独力で行動しました。
 もちろん、札幌のプレイヤーを十把ひとからげにレッテル張りし、信用できないというわけではありません。あくまで個人個人を、見える情報で判断した結果です。また、誰一人信用できないというわけでもありません。信用できる人もいますし、いわゆる「普通」な人もいます。もちろん、単純に3つにカテゴライズできるわけもなく、いろいろな段階があるわけですが。
 私が誰を、なぜ、どれくらい信用できないか、ということを確実正確に知ってもらうには、それまでに各人が起こした実例を書くしかありません。ですが、自分が社会的に信用されるような行動を積み重ね、マジックの運営を支えてきたか、逆に問題を起こしてきたかはそれぞれがわかっているはずなので、ここで内容を公にして騒ぎ立てるつもりはありません。ごく一般的な例としては、テーブルに座ったり椅子に靴ごと乗ったり、人前で暴力を振るったり、大会で対戦したプレイがうまくない人のことをネット上でこき下ろしたり、といった人を私は仕事相手として、成熟した大人としては信用できません。
 信用「できなかった」から、と書きました。これが、「できない」になるのか、「できなかった」で落ち着くのかは、今後の私と各個人とのやりとりによって変わるでしょう。
 あと、札幌に行くのが大変だから地元にした、ということもありません。
 確かに、札幌に移動するのは大変です。頼み込んで仕事の休みを貰い、前日の仕事から帰宅後に夜まで準備をし、朝の5時に起きてシャワーを浴び、食事もせずに車で3時間運転。到着後は気心の知れた仲間がいない緊張感と共に12時間運営活動をし、そこから夜の運転で帰宅が0時を回ってから。大会報告の処理を済ませて、次の日に仕事。
 とても「地元」で運営活動をしている、とは思えない内容ですが……。
 運営委託前は、この条件で日当から経費を引くと1,000円しか残りませんでした。ですので、高速道路も使えませんでした。赤字になるからです。プレリリースのときは日当が現金ではなかったので完全に赤字でした。現在は、その点は改善されていますね。
 それでも、私はジャッジとして働き、プレイヤーが楽しむなり真剣に勝負するなりするのを見るのが好きです。ですので、苦ではありません。
 大体、これが苦ならば運営委託直後から自分勝手にイベント会場を室蘭にしますし、そもそもジャッジなんかやりません。
 私だってプレリリースで新しいカードを驚きをもって迎えたいですし、自分の実力を発揮して結果を残したいんです。プレリリースで2位になったことだって、プロツアー予選でトップ8だったことだってあるんです。規模が小さくたって、世間から見れば小さな結果であったって、私にとっては充足感と、更なる目標をもたらしてくれました。ドラフトも好きなので、地元で盛んに8ドラを行っています。参加できなくても、大会に向けて環境の把握をするのが好きです。私はマジックが好きです。
 だからこそ、一人でも多くのプレイヤーにマジックを楽しんでもらいたい。そのためにジャッジをしてるんです。
 でも、プレイヤーを喜ばせて気持ちよくジャッジをしたい、という気持ちは打ち砕かれました。それが休止宣言でした。
 しかし今は、もう一度立ち上がろうと思います。一度死んだ身です。もう怖いものはありません。

 今後は可能な限り同一のイベントを札幌とどこか、というような二箇所展開で行うのが理想でしょうか。もちろん私一人の力では実現は難しいかもしれません。その地方にスタッフ希望者がいなければなりませんからね。
 今後、札幌での運営が可能だとしても、しばらくはプレイヤーとぎこちない関係になるとは思います。ですが、今回の苦言も未来の発展のためと理解していただき、協力して札幌、北海道のマジック発展のために活動していければと思います。
 運営側、販売側に対して今回の騒動を引き起こしたジャッジという立場としては、今後の働きぶりで責任をとる形としていただければ幸いです。

 書き足りないことや余計な言葉もあるかとは思いますが、書きたいと思ったことは書き終えました。最後に、助言と助力を下さった米村氏に感謝を表して、意思表明を終わりとします。


皆抱えるものは色々あると思います。今回のご発言に敬意を示すと共に、深く同調するものであります。実は自分も一度はジャッジを辞める決心をした身でして、それでも色々な人に支えていただいて、そしてなによりマジックが好きであり一人でも多くのプレイヤーにマジックを楽しんでもらいたいという気持ちが今の私を動かす原動力になっています。


共に頑張りましょう。