日本選手権予選へ向けて 「スリーヴ編」#2

MagicBackDeckProtector

5/11(日)には福岡市城南市民センターで
代理カード可スタンダードトーナメント大会
を開催します。

http://bys.nobody.jp/gamcon/
ぜひともお誘い合わせの上、ご参加下さい。

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さてさて、話を戻しまして。少し間が開いてしまいました。


今回は少し大人の事情が絡む話になっておりまして、公の場で発言するかどうか悩みましたが、個人的感情(現状にマジで怒っています)から踏み切りました。あくまで一個人のblogに書いてあること、として目を通していただければ幸いです。


今回のテーマは"バックプリントのあるスリーヴ"です。


カードゲームを愉しむにあたり、そのサプライにもこだわりが出てくるは当然のことでしょう。そういった購買層を取り込むため、各メーカーも様々な新商品を送り出します。その中のひとつに"バックプリントのあるスリーヴ"がありました。しかしながらそれらの多くものの印刷精度は決して良いものではありません。卸し立てでマークド状態のカードが出来てしまったり、逆にそれを利用することによって簡単にイカサマ行為を行えてしまう可能性があります。


そのため競技性重視のMagic: The Gatheringの、少なくとも日本のトーナメントシーンにおける現場の判断では「バックプリントのあるスリーブの使用は認めない」というスタンスを取ってきました。
#その根拠としてはDCI汎用トーナメントルールの35項にある"If the sleeves feature holograms or other similar markings, cards must be inserted into the sleeves so these markings appear only on the face of the cards. (スリーブにホログラム、または他のマークがついている場合、マークがカードの表側に見えるようにスリーブに挿入されなければならない。:MJMJより)"という一文です。ホログラムですらダメなんだからバックプリントなんて以ての外だ、と皆当たり前のように考えていました。孤高ですねえw。


そして刻(とき)は移り、市場はMagicの成功を追いかけるライバルで溢れています。購買層のあらゆる欲求を満たすためには、もはや孤高ではやっていけなくなりました。Ultra Pro社からMagicの公式サプライとしてバックプリントの入ったスリーヴが発売されることになり、販促の一環としてPro Tourで参加者に配布されました。


我々現場の者にとっては衝撃的な一事でした。それまでは「バックプリントのあるスリーブの使用は認めない」としておりましたが、公式サプライとして販売されているものに対して「使えない」と言える筈もなく、済し崩し的(*注)にトーナメントでの使用が黙認されるという流れになってしまいました。ちなみに汎用ルールの条文はこれらの発売前後でも全く変化していないようです。


ではでは、はじめに「怒っている」と書きましたのを覚えていただいておりますでしょうか。その理由は件(くだん)のUltra Pro社のMagic公式スリーヴの中に、私がこれまでに見た中で最悪の製品が存在しているからです。"Magic Back Deck Protector"というMagicの裏面が印刷されたヤツです。実はこのスリーヴは初期状態で必ずマークドになっています。(右上図では白い楕円で囲まれた)カードの内側枠線部分が黒で印刷されているのですが、印刷の精度が良くないため他の色のインクがラインからはみ出しています。このはみ出す色が「赤」であるものと「緑」との二種類が存在してしまうのです。色の違いというのは、そうと知る者にとっては少し遠目からでもはっきりと区別が付きますが、知らない人にはほとんど判りません。もし実物をお持ちの方がいらっしゃいましたら、何枚かを見比べてみて下さい。あまりに容易に識別出来てしまうことに、きっとびっくりなされることでしょう。競技性重視を謳ってきたMagicの公式サプライの中に、このような粗悪な商品が紛れ込んでしまっていることに苛立ち、驚き、そして悲しみを隠せません。


もしあなたが新しいスリーヴを購入するたび、マークドになっていないかどうかを目を皿のようにして調査するのが億劫とお考えであれば、少なくともバックプリントのないスリーヴを使った方が得策だと思います。もちろん前回述べましたように、それでも初期状態からマークドになっていることは珍しくはないのですが、バックプリントのあるスリーヴに比べたらチェックすべき点は少ないですから。


結局は自分の身を守るため、なのです。十分過ぎる程にお気を付け下さい。




追伸:
カードをスリーヴに入れるときは全てを出来る限り奥の方まで挿入するようにしましょう。浅く入っている場合、スリーブの入り口側からカードのエッジが白っぽく見えてしまいます。エッジが見えるものと見えないものが混じっている場合は、やはりマークド扱いになります。実際に、プロツアー予選でこの状況を繰り返し対戦相手に指摘され、格上げゲームロスをもらってしまったプレイヤーがいました。




(*注)「済し崩し(なしくずし)的」という言葉は実は誤用なのですが、便利なのでw今回は敢えて使っております。ご了承下さい。



次回は「マナー編」です。